居合の講習会(合宿)でハムに行ってきました。田舎にある小さなお城をホテルに改修した素敵なところです。
日本から三名の先生がお越しになったのですが、今回は講習会ともう一つ大きな目的がありました。それはドイツ居合道連合の最高指導者ゲラルドから石原さんへの刀(真剣)の返却。
ドイツでの我々の居合の始まりは、当時外務官でドイツに勤務されていた石原さんがゲラルド達に居合をおしえたことにありました。石原さんとゲラルドはそれぞれ同じ年頃の子供が二人いたので、家族ぐるみの付き合いだったそうです。それが約5年前、石原さんは病気のため、突然亡くなられました。石原さんの家族が帰国するとき、ゲラルドは奥様からその刀預かりました。既に錆びかけていた刀を磨き、この5年間手入れをしながらそれを守ってきたのです。そして、今回、その石原さんの大学生になる息子さんがその形見の刀を取りに来られたのでした。
講習会の最初の挨拶の後、会長が「これより刀の返却の儀式を行う。」と、宣言し、ゲラルドと石原さんの息子さんがみんなの前に立ちました。そして、ゲラルドは息子さんにその刀を無事返却したのです。そのときのゲラルドの顔はこの上なく晴れやかな良い表情をしていて、僕は目頭が熱くなりました。その刀はゲラルドにとってどれほど重みのあるものであったことか。彼がここまでドイツの居合連合を大きく成長させることができたのも、石原さんの意思を継いでのことです。そして、その間、ゲラルドは一度もその刀を使用しませんでした。
さらに、真剣とは別にもう一つ、居合刀(模造刀)もゲラルドは石原さんのものを受け取っていました。その刀は彼にとってはやや短いのですが、長さは彼にとってもはや重要でなく、今でも居合に使用しているのでした。
講習会が始まり、ご指導して頂いた後、昇段審査がありました。そして、私は念願だった初段を取得。剣道3級、書道特級(1級と初段の間)で辞めた私にとって、居合だけは段を取れるまで頑張ろうと、続けて来た甲斐がありました。そして翌日の大会では優秀技能賞を頂きました。
講習会後は先生方とビーレフェルトの近隣を観光しました。
草原の中に猫を発見!
鷲の施設でバードショーを至近距離で見学。何度も我々の席の真後ろにある手すりに鷲がやってきました。
ハーレーダビッドソンのロゴでしか見た事がないような鷲の表情。
翌日、少し離れたところで再び同じ猫を発見!
西暦7年に当時ローマ軍の支配下だったこの町から勝利を収めたヘルマンの記念碑。
そして、フランクフルトの空港まで先生方と石原さんの息子さんを見送りに。心配だった刀も預かってもらうことができ、無事帰国されました。
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刀返却の儀なんてあるんだね。読んでるだけでゲラルトさんの石原さんに対する敬意・思いに心打たれたよ。この原っぱにいる凛々しい猫みたいなのがそのゲラルトさん?
猫村さんです。