
1週間の東京滞在中、横浜トリエンナーレ、東京国立博物館の「大琳派展」、21_21 DESIGN SIGHTの「セカンド・ネイチャー展」を見てきました。その中で、今回最も感銘を受けたのが吉岡徳仁の結晶で出来た絵画「月光」。これはキャンバスの表面に人工的に結晶を増殖させた作品。その結晶(ミョウバン?)はベートーベンのピアノ・ソナタ「月光」を振動スピーカーによって聴かされながら水槽の中で形成されたものである。この展覧会のメインはむしろ結晶の椅子であると思われるが、モチーフが椅子というのは必然性に欠ける。もし、コンセプトとモチーフが完全な一致をしていれば、椅子の他に絵画やビーナスを制作しなかったはずだ。ただここでは自然現象を利用したデザインとして展示されている。椅子よりも絵画の方に感銘を受けたのは、椅子は結晶と結びつくことで逆に実用性を失っているが、キャンバスでは結晶とモチーフが共存しているからだ。
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